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2025年7月3日の法話会と次回(2025年8月3日)ご案内

次回の法話会ですが、下記の日程で開催いたします。ご講師は大阪の若林眞人先生がご出講くださる予定でしたが、大変残念なことに若林先生が急逝されたことにより、現在出講講師については調整中です。

(日時)2025年8月3日(日)13時30分~ 勤行(30分)後・法話(50分)
(場所)西方寺(柏市名戸ヶ谷1121-2/04-7173-0517)

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2025年7月3日の法話会には、山口県下松市より藤本唯信先生がご出講くださいました。15年ぶりの招聘でしたが、以前はよくご出講くださっていた先生です。副住職(西原大地)による取意ですがお話の概要をご紹介いたします(以下、先生のご法話の内容。読みやすさを優先し寺院に対する尊称は省いています)。

折しも本年は終戦から80年の節目の年にあたります。今から31年前、広島県江田島にある品覚寺に初めてお参りさせていただきました。その後、再びご縁をいただいたことを、今もありがたく思っております。

江田島には広島市の宇品港からフェリーで25分ほどで到着します。フェリーは日常的に往復しており、島民にとってはまるでバスのような交通手段となっています。

品覚寺では、一年365日欠かすことなく、朝のお勤め(お朝事)が勤修され、浄土三部経の読誦と正信偈の拝読が行われています。ご院家様(お寺の住職)は毎朝20分ほどの和讃を唱えられており、その姿勢には深い感銘を受けました。私が初めて参拝した際にも、「門徒が参るからにはお勤めを休むことはできない」とのことでした。

この品覚寺が長年、朝のお勤めを欠かさず続けてこられた背景には、浄土真宗の教学における石泉学派と空華学派の存在があります。特に石泉学派は緻密な教学を重視する伝統を持ち、龍谷大学にその流れが見られます(是山恵覚和上・大江淳誠和上)。

この石泉僧叡和上は教学を優先され、法事や葬儀の依頼にも「学びの代わりはおらぬ」と断られたことがあったため、地元の寺院から離れることとなった経緯もあります。

江田島の品覚寺は、朝には海から昇る陽の光とともに漁船が動き出し、山の中腹にある本堂からの眺めは実に美しいものでした。そのような地に石泉僧叡和上が逗留されたため、品覚寺を囲む近隣寺院が集まり、教学の勉強会が行われたことが、品覚寺の現在の信仰実践の礎となっています。

また、明治21年に東京・築地から江田島へと移転した旧海軍兵学校の生徒たちが、人生の道を尋ねて参詣していたのが、この品覚寺であります。明治から続く「和綴じの記録帳」には、その時代時代に訪れた方々の記録が多数残っております。

終戦50年の節目には、TBSの取材があり、亡き兵学校生徒たちが最後の24時間に訪れた場所としての品覚寺が紹介されました。その取材の際、「もしあなたが命の尽きる最後の24時間を与えられたら、何を選びますか」との問いに、プロデューサーが返答に詰まる場面もございました。最後の時間を、欲を満たすために費やすのか、両親に感謝を伝えるために使うのか、それとも命の意味を尋ねるために寺へ向かうのか——私たちは常に自問せねばなりません。

このようなエピソードを通じて、仏事とは亡き方の供養であると同時に、残された私たちの生き方そのものを問う機縁であると感じます。争いや訴訟に発展するような悲しい事例がある中で、仏法を聞くということは、命の価値に気づき、真実に目覚めることにつながります。

江田島の品覚寺は、かつて土石流によって本堂が大きな被害を受けましたが、朝の勤行は一度も絶えることなく続けられました。ご遺族の方々の尽力により、本堂は再建され、今もなお多くのご縁を結び続けています。

死は医療の敗北ではありません。むしろ仏教の視座において、病や死は人生の終着点ではなく、真の目覚めへの入り口であります。西本願寺では医師の会が組織され、全国の医師が仏教の教えに触れる研修が行われています。

その一環として、築地本願寺では小児がん患者の家族のための宿泊支援も行われており、法話の志で寄付を申し出たこともございます。

ある仙台の医師が、戦死した叔父の足跡をたどり、品覚寺に参拝されたことがありました。叔父の命がなければ、自身の父が家を継ぐことはなく、今の自分の人生もなかったと語られ、その命の縁が仏法に結ばれていくことの尊さを改めて感じた次第です。

亡き方の命が、仏縁を通じて、子や孫の代へと尊い命の継承として結ばれていく——そのような社会を築いていくためにも、私たちは常に念仏とともにある生活を大切にしたいと願うものです。

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