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2025年9月3日の法話会と次回(2025年10月3日)の法話会のご案内

まず始めに次回の法話会のご案内をいたします。

(日時)2025年10月3日 13時30分~勤行/14時00分 頃~法話
(講師)北嶋 文雄 師(福岡県)
(場所)西方寺・本堂

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2025年9月3日の法話会には、福岡県より紫藤常昭先生がご出講くださいました。自業自得と他力回向の違いについて譬え話を交えてお話くださいましたので、一部、ご紹介いたします。

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私たちにわかりやすい理屈というのは「自業自得」です。私が一杯お酒を飲めば、私が酔っぱらう。これなら筋が通っています。ところが、私が一杯飲んで西方寺のご住職がひっくり返ったら、これはおかしいでしょう。

けれども、浄土真宗の教えでは「他力回向」、つまり仏さまのおはたらきによって私が救われると説かれます。

これはちょうど、私が飲んで西方寺のご住職が倒れる、つまり仏教の言葉で言えば他作自受という考えと似たような感じがいたしまして、実際、誤解されることが多々あります。よく野球や相撲の解説で「自力優勝の可能性はなくなりました。あとは他力本願ですね」と言いますが、あれは本来の意味とは違います。本当の「他力」とは「願力」、仏さまの願いのはたらきです。

難しい話になると皆さん眠くなってしまうでしょうから、ひとつ例え話をしましょう。

私の寺は福岡市城南区七隈にあります。今では地下鉄も通り、だんだんと賑やかになってきましたが、私の子供の頃は田んぼや竹やぶが広がる農村地帯でした。寺の裏には竹やぶが少しと、20メートルほどの大きな樫の木があり、そこにカラスが巣をつくったことがありました。

お彼岸やお盆には納骨堂に多くのお参りがあり、お供え物が残ります。その中に落雁がありますね。私の父は大正生まれで、食べ物を粗末にすることを嫌いましたから、食べきれない落雁を庭の石に置いておくと、カラスが食べに来たのです。やがてカラスはそこを気に入り、樫の木に巣をつくり、数年ごとに子育てをするようになりました。

ある年、飛ぶのが下手な子ガラスが巣立ちをして、庭で跳ね回っていました。猫に狙われそうになり、親ガラスは心配そうに見守っています。そして、親は餌をくわえて子ガラスに与える。子ガラスは「ありがとう」と頭を下げるわけではなく、当たり前のように食べるだけ。それでも子ガラスは生きていけるのです。

もし「親ガラスが食べて子ガラスのお腹がふくれる」のなら、それは「他作自受」と言えるでしょう。けれども実際には、親ガラスが餌を与えて子ガラスが命をつなぐ。ここに「願いの力」、すなわち「願力」があるのです。親は「この子を一羽前の大人に育てたい」という願いを持って餌を運ぶ。その願いがはたらき、子を生かすのです。

この「願力」は、ちょうど万有引力の法則にも似ています。重力はいつでも、どこでも、誰にでもはたらく。柿の実は、どこの家のも上から下に落ちる。夫婦仲が良くても悪くても、プーチンさんの家でもゼレンスキーさんの家でも、同じように上から下に落ちるのです。これが「十方に常に働く」ということです。仏さまの願いも同じで、誰にでも、いつでも、はたらいてくださっているのです。

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